One HRでは、HR’s SDGsを通じた持続可能な企業と個人の成長を加速させる取り組みに光を当てる「HR’s SDGsアワード2026」の募集を行ない、12社の取り組みに対してアワードを授賞することを決定しました。以下に、受賞企業12社の取り組みをご紹介させていただきます。
①「働く責任 働く自由」部門
最優秀賞
株式会社ランクアップ
仕事も子育てもあきらめない!
中小企業の生き残りをかけた「6つの子育てランクアップ術」
【取り組みの背景・当時の課題】
代表自身が41歳で高齢出産を経験し、仕事と子育ての両立に苦しみ、体調を崩した経験から、本気でママ社員を支えたいと決意。特に中小企業である弊社は、中堅女性社員の活躍が会社を支える大きな原動力。出産や育児を理由に退職者が増えれば、会社の継続にも関わる――そんな危機感から、出産しても時短でも働き続けられる子育て支援制度を整えてきました。
【具体的な取り組み内容】
1 子育て支援
・1時間単位で利用できる有給取得(有給使用を効率化)
・病児ベビーシッター使い放題(1日3万円程度の利用料を全額会社負担)
・いつでも子連れで出勤可能(長期休暇や代休時など便利)
・育児体験制度(新卒の発案!子育て中の社員の自宅で育児を体験し、背景を理解することでチームワークを醸成)
・出社&テレワークを自由に選べる制度
・フレックス制度導入(コアタイム以外は自由に働ける)
2 生産性を上げる仕組み(長時間労働の禁止)
・業務の棚卸で業務を仕分け
・アウトソーシング利用
・システム化
・全社員AI活用
・毎月残業ランキングを発表
・3か月ごとの異動希望アンケート実施、キャリア意向を確認
・毎月15分のワンオンワンで、体調や不安などを打ち明けられる場を創出
制度を置くだけで終わらせず、可視化・対話・改善を回し続けることで、ライフステージの変化があっても仕事を継続できるよう本気でサポート。社員の活躍を諦めない土台をつくっています。
【具体的な成果・効果】
●売上144億円 (銀行からの借り入れはゼロ、黒字経営) 社員数約100名のうち女性約8割、ママ社員約4割、社員の子どもは70人超。
●女性管理職比率80%(子育て中のママ管理職の比率45%)
●産休・育休後の復職率は100%(子育てを理由とした退職はゼロ)
●新卒採用 3年以内の退職率ゼロ
→創業21年、売上は右肩上がり。赤字ゼロ。長時間労働しなくても売上を上げられることを証明。残業できない時短勤務のママ社員であっても管理職としてバリバリ活躍を続けています。
2016年「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」「長時間労働削減取組部門」
2024年 第5回東京女性経営者アワード 持続経営部門
優秀賞
KDDIアジャイル開発センター株式会社
AI時代だからこそ、新卒に未来を託すKAGの人財育成
【取り組みの背景・当時の課題】
生成AIの急速な普及により、エンジニア領域では新卒採用を控える動きも見られるようになった。
一方でKAGは、新卒採用を会社の土台づくりの一丁目一番地と位置づけ、設立直後から継続して実施してきた。変化の激しい時代だからこそ、技術力だけでなく、KAGの文化を継承し、未来の事業を担う人財を育てることを重要課題としてきた。
【具体的な取り組み内容】
KAGは2022年の会社設立直後から新卒採用を開始し、24卒19名、25卒26名、26卒22名、計67名を採用してきた。重視しているのは採用数の確保ではなく、新卒が早期に活躍し、KAGの技術と文化を次世代へつなぐ人財へ成長するための一貫した育成設計である。
入社後は4ヶ月間の新卒社員研修を実施し、開発スキルに加え、アジャイル、顧客価値、チーム開発、心理的安全性、KAGらしい働き方や価値観を学ぶ時間を丁寧に設けている。配属後も人事部面談や1年目終了時のフォローアップ研修を通じて、一人ひとりの成長課題や不安に継続的に伴走。
さらに、社内外登壇、Qiita等での技術発信、AIハッカソン、大学PBL支援、母校での採用活動など、新卒が学びを実践し、社外へ還元する機会を意図的に創出している。
新卒を「育成される存在」に留めず、入社1年目からKAGの未来を共につくる当事者として挑戦できる環境を整えている。
【具体的な成果・効果】
25卒は入社1年目から、20件超の社内外アクティビティに参画。
Qiitaでの技術発信は19名で計74本にのぼり、KAG AI WEEKでは7名がのべ8セッションに登壇した。社内AIハッカソンでは第1回10名、第2回11名が挑戦し、受賞者も輩出。AWS主催ハッカソン優秀賞、Qiita×Findy企画での受賞、AWS Community Builder選出、RSGT2026での350人体験デモなど、入社1年目から社外に価値を届ける成果が生まれている。
新卒が「育成対象」から、KAGの技術・文化・未来を動かす存在へ成長している。
②「違いを力に」部門
最優秀賞
株式会社アイスタイル
障害者雇用を「義務」から「成長の切り札」へ
全事業領域を支える戦略的シェアードサービスモデルの構築
【取り組みの背景・当時の課題】
障害者雇用部門では定型業務が主で、多数在籍している知的・精神障害を持つ社員に対し、個々の特性に適した業務分配に課題があった。
一方で事業急成長に伴い、店舗裏方やIT部門PCキッティング等、出社を要する社員確保に苦慮し、事業のブレーキとなる組織が増えていた。
そこで障害者雇用部門を「戦略的内製化拠点」と再定義。個々の特性を「確実な遂行力」と捉え直し、全社リソース最適化と事業現場の負担解消を図った。
【具体的な取り組み内容】
特徴として自社の事業構造を熟知した社員が「ハブ」となり、業務移管元からの複雑な工程を完遂可能な定型タスクへ解体・再構成。「活かすべき人材」と「継続すべき業務」の最適化。
【高レジリエンス型配置】
一人ひとりの「違い、日々深まる持ち味」を独自のワークリズムとし、一人ひとりの業務配置をパズルのように組み合わせ、レジリエンス(どんな時も柔軟に乗り越える力)が高いチームを維持。
【真正面から向き合うサポート】 合理的配慮を踏まえつつ「特別扱い」はしない。戦力として成果を出すことにコミットし、スポーツチームの監督のように「どう業務を完遂するか」という戦術立案と個々の成長支援に集中。様々な業務経験を通じスキルアップを後押し。
【多角的展開・生産性循環モデル】
全事業領域から95種類以上の業務を移管。ルーティン業務だけに留まらず柔軟な対応・的確な判断を要する業務の遂行が、一人ひとりの確かな成長へと繋がっている。その領域はオフィスワークから店舗運営のサポートまで多岐にわたり、現場とバックオフィスを全方位から支える体制を構築。その結果、全社員が「本来注力すべき役割」に集中できる環境を創出した。
【具体的な成果・効果】
【定量成果】 障害者雇用部門(23名在籍/身体障害者1名)で定着率80%を維持し、内製化によるコスト削減を達成。
【コア業務への時間創出】 現場定型業務を月間約2,100時間削減。店舗では接客、オフィスでは戦略立案や高度なシステム設計への専念を可能とし、障害者部門のメンバーがいないと困るという社内での実務的な信頼を確立。
【人的資本への貢献】 一人ひとりの「可能性」を信じ、共に戦力として歩む本モデルは、労働力不足に悩む社会の解決策の一つになると考える。磨いた業務を自動化し次へ繋げる循環を回し続け、障害者雇用が生産性向上を支える一助となるよう、人的資本経営の新たな可能性を追求し続けたい。
優秀賞
レバレジーズ株式会社
障がいの「見えない壁」をVRで可視化。
合理的配慮ではなく合理的調整と定義し、組織の力に変える文化創出
【取り組みの背景・当時の課題】
精神・発達障がい者が9割を占めるレバレジーズの障がい者雇用は、定着率業界平均1.5倍を維持しつつ、3年で組織規模270%拡大を遂げました。
更なる雇用推進を目指す中、最大の課題は「目に見えない障がい」への現場の不安。特性への無理解が離職を招くリスクがあり、障がいを「制限」と捉えるのではなく、周囲が特性を正しく理解し環境を最適化する「合理的調整」の文化を全社へ浸透させる必要がありました。
【具体的な取り組み内容】
レバレジーズ株式会社の役員と、業務上で障がい者従業員と接点を持つ担当者を対象に、「VR」を活用し発達障がいの当事者視点を疑似体験する「VR体験型研修」を実施。
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■VRによる当事者視点の可視化:
発達障がい特有の「視覚・聴覚過敏」や、情報の優先順位付けが困難な「ADHDの視点」をVRで体験。知識に留まらない「感覚の共有」を通じ、目に見えない不自由さを実体験として可視化した。
■当事者である障がい者社員による「調整」の技術講義:
実際に現場を率いる障がい当事者リーダーが登壇し、脳内パニックのメカニズムを解説。VR体験を単なる同情で終わらせず、個々の違いに耳を傾け、指示系統や物理的環境をロジカルに整える「調整」の手法を伝授した。
■「配慮」から「合理的調整」への定義刷新:
一方的な優しさ(配慮)ではなく、環境を最適化する調整こそが持続可能な組織運営であると定義。
当日の様子はこちらからご確認いただけます:https://worklear.jp/library/event/109/
【具体的な成果・効果】
①受入部署のマネジメント変容:
VRでの当事者視点の擬似体験により、相手の特性を「自分事」として理解。受入部署側から「自分側で見直せるところはないか」と自発的な歩み寄りがあったり、障がい者社員と受入部署による「イレギュラー対応集」の共同作成等、現場主導の改善が活発化。共に解決策を考える姿勢が生まれた。
②新規業務の切り出し加速:
部署側から自発的に「この業務も切り出せる」と新規依頼が加速し、職域の拡大が実現した。
③事業成長への直結:
受入側の意識変容がボトルネックを解消。3年で障がい者雇用組織規模270%増の急拡大を支える実利的な戦力化を実現。定着率も業界平均1.5倍を維持している。
③「本音で語れる場づくり」部門
最優秀賞
旭化成株式会社
旭化成公認有志コミュニティAKcel Lounge
~対話・越境・発信で旭化成をもっと面白く~
【取り組みの背景・当時の課題】
コングロマリット企業である旭化成には、多様な事業や職種、人財が集まっています。変化の大きい時代だからこそ、普段の業務では接点の少ない部門や世代同士が、互いの経験や価値観を知り合う機会を広げていくことが大切だと感じた有志メンバーが集まりました。
対話・越境・発信を通じて新しいつながりや学びを生み出し、社員一人ひとりが自分らしい挑戦を広げられる場づくりを目指して活動しています。
【具体的な取り組み内容】
キャリアオーナーシップ・アントレプレナーシップ・リーダーシップを軸に、社員一人ひとりが主体的に生き方・働き方を選択できる状態を目指して活動しています。
「会社を使って自分の人生のオーナーになる」「個人のWILLを醸成し、起業家精神を持って生きる手助けをする」をミッションに、対話・越境・発信を軸とした活動を展開しています。安心・安全で敷居の低い場づくりと、役職や年次を越えたフラットな関係性を大切にし、「人の夢を笑わないコミュニティ」を合言葉に、夢や想いを語れる環境を整えています。
参加者は、部署や世代を越えたつながりを得るとともに、多様な価値観や選択肢に触れ、自分らしいキャリアや挑戦の一歩を踏み出しています。個人の成長と組織の活性化を同時に生み出し、「旭化成をもっと面白くする」ことを目指しています。
・月一のオンライン定例会
・Teamsを活用した情報交換、相談
・キャリア座談会、WILL発掘ワークショップ、新規事業壁打ち、ライトニングトーク、プロボノ活動、社内外交流会などを開催
・人事、広報、DE&I部門や役員との意見交換、共創企画
・ステッカーやフライヤーなどのグッズ作成、配布
【具体的な成果・効果】
・7ヵ国21地域、32組織301部署から508名が参加(2026年5月時点)
・役職や年次を超え、研究・製造・営業・人事・DX・海外拠点など多様なメンバーが参加
・昨年は30回以上のイベントを開催
・実参加者191名、延べ参加者377名、リピート率約43%
・人事、広報、DE&I部門との共催企画を実施
・他社20社以上との交流を実施
イベントやコミュニティ活動を通じて、副業・異動・新規事業・コミュニティ立ち上げなど新たな挑戦が生まれています。メンバー同士が新たな勉強会やコミュニティを立ち上げるなど、つながりが次の挑戦へ広がる循環も生まれており、多様性を力に変える風土醸成につながっています。
優秀賞
株式会社hitohinto
『人生の棚卸し』の億劫さを解消
—人生エピソード起点のキャリアデザイン・相互理解・マネジメントへ—
【取り組みの背景・当時の課題】
心理的安全性が高く個が活きる職場づくりには、メンバー・上司双方に壁があります。
●メンバー側:自分の強み・価値観・将来ありたい姿を、自分でも言語化できない。
→前提となる「人生の棚卸し」が億劫で後回しになるからです。
●上司側:一人ひとりの個性や将来像を深く理解せず表面的なマネジメント。
→ハラスメント懸念で踏み込めず、多忙だからです。
私自身会社員時代に両側の壁を経験し、解決すべく起業しました。
【具体的な取り組み内容】
①メンバー側の壁を解くツール「ヒトヒント」の開発(2020〜)
最大の障壁は人生の棚卸しの億劫さ。これを独自UIとAIサポートで誰でも自然にできる体験に再設計しました(UI・AI機能で特許2件取得)。
自分の人生のエピソードを入力すると人生グラフ化され、AIが深掘り質問で内省を助け、蓄積されたエピソードから「自分ならではの強み・価値観」を言語化してフィードバックする仕組みです。
人生の棚卸しを起点に、将来のありたい姿を描けるようになります。本人の人生グラフのアウトプットは、そのまま上司や同僚との相互理解の起点になる構造です。
②上司側の壁を解くメソッドの構築(2022〜)
①のアウトプットを使えば、ハラスメントリスクなく部下の個性と将来像を深く理解できます。個人理解を起点としたピープルマネジメント研修を幅広い業種の十数社に提供し、価値を実証してきました。
③「ヒトヒントCARD」の開発と社会への無料開放(2026年4月)
①の進化版ツールを開発し、①の全機能を学生から社会人、シニア世代まで全ての人へ無料開放しました。②のノウハウは有料チーム機能として、上司のマネジメントを支えます。
【具体的な成果・効果】
①ヒトヒントでは約3,000人が、1人平均10件以上・各約200字のエピソードを入力。トピックではなく物語として人生の棚卸しができるプロダクトへ進化。メンバーからは「自分ならではの強みを言語化できた」「将来を考えるのに必須」、上司からは「ハラスメント懸念で難しかった個人理解が短時間ででき、メンバーを大事に思う心理も高まった」などの声。
②研修実施企業では、個人理解起点のマネジメントで組織改善が進行。半年でeNPS+9.2pt(株式会社キタムラ、N=1,345)など。
③ヒトヒントCARDは企業だけでなく多分野から関心が寄せられており、人生の棚卸しと深い相互理解の機会を広く社会に届けます。
④「志と志を重ねて」部門
最優秀賞
金井ホールディングス株式会社
創業130年超の老舗製造業が変わる!
新社長起点で“変化”を“紡ぐ”「変紡(へんぼう)プロジェクト」
【取り組みの背景・当時の課題】
創業130年超の繊維機器・不織布メーカーである当社は、真面目さや堅実さを強みに成長してきた。一方で、現代ではその“強み”が変化に慎重で、挑戦や新しい発想が生まれにくい「典型的な日本企業」としての保守的な“弱み“になってしまった。
しかし変化の激しい今の時代に、今までどおりでは生き残っていけないという危機感のもと、2025年6月に就任した新社長が、創業200年を見据えて抜本的な全社改革に踏み出した。
【具体的な取り組み内容】
・「変紡プロジェクト」
名称は、当社創業事業に関わりの深い「糸」と「変貌」を掛け合わせた。CHRO出身のオーナー社長が兼ねてから感じていた会社の課題を解決すべく、以下のように様々な階層・領域からアプローチを行っている。
・K2塾=KANAI(金井)×KAIZEN(改善)
CHRO出身のオーナー社長が自ら資料作成し、講師を務める管理職研修。特に若手育成を中心に、月1回実施し、マネジメントを感覚的なものから体系的なものへシフトすることを目標にしている。経営者の考えを各部署の方針と行動に落とし込めるようにした。
・グループ会社間相互工場見学
若手社員を見学ガイドとし、自社の理解や自社の仕事を言語化する機会を創出。参加者にはほかの会社の現場を見ることで、気づきと自社の振り返りの機会を創出。
・社長ブログ/社長ラジオ
社長ブログは毎日、社長ラジオは週に1回発信。社長が自分の言葉で発信することで社長への理解度を高める。社長ブログはビジネス寄り、社長ラジオはプライベート寄りで、社長の人間性がしっかりと伝わり、社長を身近な存在にすることを目的として実施。
【具体的な成果・効果】
・K2塾:対象15名に15回継続実施。研修満足度は初回3.50点から直近3月実施回4.33点へ向上。研修を通じて社長の考えや会社方針への理解が深まったことを示しており、受講当初の意識変容から、若手との向き合い方の見直し、実務で試す行動変容へ進展。経営者の考えを自部署の方針・行動指針に落とし込み、グループ員へ波及。
・工場見学:参加者82名・ガイド12名に拡大し、若手の自社理解と参加者の改善視点が深まった。
・社長ブログ/社長ラジオ:継続発信により社長の考え・人柄が社内に伝わり、心理的距離が縮まった。
保守的だった組織に自ら考え動く文化が芽生え、管理職・若手・現場の間で変化が循環し始めている。
優秀賞
株式会社シーユーシー
医療職とビジネス職の違いを力にした「異分子結合」で、
変革リーダーである中核経営職の育成を
【取り組みの背景・当時の課題】
2040年には医療人材が約96万人不足し、約49万人が看取りの場を失う医療崩壊が懸念され、現場の献身と使命感に支えられたモデルは限界に達している。
医療とビジネス、それぞれの専門性が分断されたまま個別最適に留まっていては、構造的な課題解決には届かない。両者が互いの強みを掛け合わせ、再現性を備えた経営モデルへと共に転換していくことが、喫緊の課題であった。
【具体的な取り組み内容】
医療とビジネス、質と量といった相反する概念を「二面性」と捉え、それらを対立させず統合する視座こそが、2040年の危機を突破するイノベーションの源泉であると考えた。
この信念のもと、医療職とビジネス職を意図的に混ぜ合わせる「異分子結合」を推進。私たちの理念である「CUC Partners Philosophy」を軸に、以下の施策で職能の境界を溶かしている。
・中核経営職の育成(HOPE):医療職とビジネス職が「現場のCEO」として共同で経営課題に取り組む、実践型の内製研修プログラム。
・未来会議:職種の垣根を越え、院長(医療職トップ)と現場リーダーが次世代の医療ビジョンを共に構想する対話の場。
・Philosophyの体現度を測る360度評価(WayLetter):医療職とビジネス職が、職能を超えて互いにフィードバックし合うことで、相互理解と強固な信頼関係を構築。
・越境キャリアの推進:医療職への経営教育や、ビジネス職の医療現場責任者への抜擢など、専門性の壁を越える越境体験を創出。
【具体的な成果・効果】
・リーダーの活躍:HOPEをはじめとした施策では、実行力向上プログラムでコンピテンシーが平均+2.97pt向上、HOPE受講者の行動変容も34.8%から51.5%へ高まり、自律したリーダーが育ち個人の活躍事例も多い。
・イノベーション:インバウンド救急の全国展開、異業種共創による国際アワード受賞、AI活用やクリニック再生など、医療×ビジネスの異分子結合による変革が多数誕生。
・事業成長:こうした取り組みにより育っている自律的な人材たちが事業を推進した結果、売上収益:42.4%増 / EBITDA:45.8%増(2024年度・グループ連結)と伸長した。
⑤「育つために育てる」部門
最優秀賞
パナソニックホールディングス株式会社
変革リーダーを育む社外共創ネットワーク
~他社協業でとカルチャーを磨き主体性と価値創出を実現~
【取り組みの背景・当時の課題】
グローバルに変化が激しく予測が困難な時代に、人口減少が加速する日本では、一企業が単独で持続的な成長を続けるのが困難な局面にある。
さらにコロナ禍やテクノロジーの進化により、リアルな対話や異なるバックグラウンドを持つ人との交流機会が不足し、自社内に閉じた内向きな思考が顕在化していた。社内の交流を活性化、また企業の枠を越えた共創により組織カルチャーを磨き、変革を現場から生み出す実践の場が求められていた。
【具体的な取り組み内容】
若手社員の「会社をより良くしたい」という発意を起点に、“社員稼業”(創業者の松下幸之助氏提唱、社員一人ひとりが主体的に価値を生み出す理念)として、企業・部門の枠を越えた社外共創ネットワークを構築。
2024年度より若手中心の有志活動として継続し、関東・関西で年8回以上、各社のカフェテリア等で実施している。コロナ禍で不足したリアルな対話機会を補完し、各社のカルチャーを体感的に学べる場として設計。共通課題を持つ日系企業同士がテーマ設計に基づく対話を重ね、企業文化の相互理解を起点に自社課題へ還流する実践プロセスを構築した。
役職や所属を越えたフラットな対話により、多様な視点の交差と越境学習を促進するとともに、社員自発による参加・運営で自律性を醸成。さらに同様の課題意識を持つ複数の日系大手企業との共創を通じて、具体課題に接続し、価値創出型ネットワークへと進化させた。
参考
・https://panasonic.co.jp/mnad/mnm/149.pdf
・https://news.panasonic.com/jp/topics/206426
【具体的な成果・効果】
継続的な活動として参画企業17社以上、累計700名超へ拡大。テーマ設計に基づく対話を通じて獲得した越境思考や対話設計力により、参加者は自社課題を再定義し、職場での主体的な挑戦や部門横断連携へと行動変容を促進。その結果、組織内に変革を担うポジティブエナジャイザーが創出。
さらに星野リゾートトマム様との共創では来場者3,000名以上との接点創出やメディア29件掲載とブランド価値向上に寄与。また対話で得た顧客視点は施策へと実装、AI活用や業務プロセス改善など各社共通課題に応じた共創を展開し、人材育成・カルチャー変革・事業価値創出を同時に実現する基盤として機能している。
優秀賞
日揮パラレルテクノロジーズ株式会社
障がいの有無に関わらず、全ての人が対等に働ける社会の実現を目指す
【取り組みの背景・当時の課題】
2021年に日揮ホールディングスの特例子会社として設立。『障がいの有無に関わらず全ての人が対等に働ける社会の実現を目指す』ミッション実現のために自らが実践しながら、日々その方法を模索している。
障がいは個人に限らず社会にも要因があるため、適切な仕組みにより回避し、働ける層の拡大が可能と考える。その実現には、大企業の過度なセーフティネットの見直しに加え、当事者の自己理解と他者受容の醸成が重要である。
【具体的な取り組み内容】
社員ひとりひとりの特性に応じて柔軟に、そして特性を強みに変える働き方を提供している。
① プログラミングやAIの知識を教える
これらの技術は、むしろ障がい者の方が高い集中力をもって品質高く設計できる事が多い事に着目し、適切な社内教育を行うことで、単純作業だけではなく高度な作業が出来る体制を作っている。
② 働くためのハードルを下げる
出社なし・時間の制約もない働き方を採用。体調や生活リズムに合わせて働ける環境を整備し、集中力と創造性を最大限に発揮できる体制を実現。中抜けや短時間勤務も柔軟に対応可能。
③ 質に向き合える環境から始める
業務の大半は、1人で1つの案件を進行する体制。自分のペースで取り組めるため、安心して挑戦できる。チーム制も選択可能で、大型案件への参加やステップアップの機会もあり。
④ 成果をだすことを求め機会をつくる
「重要だけど緊急でない仕事」に集中できるよう、原則納期なしのスタイルを採用。プレッシャーを排除し、技術力を活かして高品質な成果物を提供。安心して業務に向き合える。
【具体的な成果・効果】
① 日揮グループ内のIT業務支援
・AI・機械学習業務
画像認識AIモデルやLLMを活用したアプリ開発を通じて、データ整備からモデル構築、運用まで一貫して対応。
・アプリ開発
基幹システムの改善から小規模ツールの開発まで、ユーザー視点を重視した設計。
・ゲーム・VR開発
ゲーム開発やメタバース空間構築を通じて、体験価値の高いコンテンツを創出。XR技術等の活用により、教育・研修・設計支援など多様な分野への展開。
② アジア競技大会(2026/愛知・名古屋) AIを活用した大会結果に関するニュース記事作成を担うオフィシャルサプライヤー。障害者スポーツの普及と障害者に対する社会の理解向上、経済的効果が期待される。
⑥「はたらくを楽しく」部門
最優秀賞
MNTSQ株式会社
"社内ジム"が変えたスタートアップの戦い方
─健康経営・採用・組織開発・広報の4方向に効く一手─
【取り組みの背景・当時の課題】
社員約100名のリーガルテックスタートアップとして、知名度に頼れない採用競争のただ中にいた。
同時に、デスクワーク中心の働き方は社員の心身を圧迫し、部門間の交流も限定的。
さらに各社の採用広報施策が飽和し、教科書的な発信ではもはや候補者に届かない時代になっていた。
個別最適の打ち手では、スタートアップの限られたリソースは持たない。
一手で複数の課題を動かせる"レバレッジポイント"を探していた。
【具体的な取り組み内容】
オフィス移転を機に、本格的なトレーニング機器を備えた「MNTSQ GYM」を社内に設置。
出社すれば誰でも自由に使える"場"を整えた。これが起点となり、3つの効果が自然と派生していった。
・組織開発を起こす場として:
部活動として始まった筋トレ会が、部署を越えた日常的な交流の場へ。
会議室の代わりにジムで1on1を行うペアも生まれ、カジュアルな対話が心理的安全性の土壌となっている。
・健康経営を起こす場として:
週1回の筋トレ会に加え、運動習慣のなかった社員も気軽に身体を動かすように。
昼休みや打合せの合間にトレーニングする姿が日常の光景となった。「制度」ではなく「場」が行動を変える好例である。
・採用広報を起こす場として:
「本格的な社内ジムを持つスタートアップ」としてプレスリリースを発信し、スタートアップ業界での関心を獲得。
さらに、筋トレ指導の第一人者「バズーカ岡田」こと岡田隆氏(日本体育大学教授)を招いた一般参加可能なコラボイベントを企画。
エンジニア向け30名→ビジネス職向け60名→職種不問100名と段階的に拡大し、業界の外にも認知を広げた。
【具体的な成果・効果】
【健康経営】
運動習慣のなかった社員がジムを利用し始め、昼休みや業務の合間にトレーニングする姿が社内の自然な光景に。
日常に運動が溶け込む状態が定着しつつある。
【採用】
岡田氏とのコラボイベント第1弾は公開初日で満員、第3弾は申込104名と、100名規模スタートアップとしては異例の集客を実現。
筋トレをフックにカジュアル面談・リファラル採用の入り口としても機能。
【組織開発】
合同トレーニングやジムでの対話を通じ、部署間コミュニケーションが活発化。組織の一体感醸成に寄与。
【広報】
プレスリリースとイベント、SNS拡散により、競合他社にも知られる存在に。業界の枠を越えた一般認知獲得にも成功。
優秀賞
社会医療法人財団 董仙会 介護老人保健施設 和光苑
対話が変えた老健運営
〜コーヒーと卓球、スタッフ保護を笑いでくるんで〜
【取り組みの背景・当時の課題】
2025年度に赴任した介護老人保健施設では、旧態依然とした上下関係が強く残り、多職種カンファレンスでは職員が正解を探す発言や報告に終始する状況だった。
その結果、職員がケア改善や学習へ取り組む文化が育ちにくく、課題への早期対応も進みにくかった。疾患発生による入院・送迎対応も多く、職員の心理的負担も大きかった。施設稼働率も低迷しており、「安心して意見を出し合い、学習する組織づくり」が課題と見えた。
【具体的な取り組み内容】
1)赴任当初より、幹部ミーティング「わこカフェ」を開始した。1〜2週に1回、年間23回開催し、コーヒーを囲みながら笑いを交えて自由に意見交換できる場づくりを行った。組織運営の北極星を「適正な人数で責任感のある最高のケアを」と設定し、職種横断的な対話を重視した。
2)棟カンファレンスでは、「各職種が順に報告する形式」から、「入所者の課題に対して多職種で議論し、その場で方針を決定し一部行動まで行う形式」へ変更した。時間管理を行いつつも雑談や笑いも歓迎し、発言しやすい空気づくりを意識した。入棟者に関する事前協議や、看取り症例を振り返る「偲びのカンファレンス」も生まれた。
3)学会発表を行う職員に対して、テーマ設定から発表姿勢までを含めた全8回の研修を実施した。また、Excelによる集計・分析や、図解を用いた資料作成の学習機会も提供した。
4)入所者からのハラスメント報告を受け、施設方針を整備し、職員保護体制を明確化した。
5)終業後30分程度の卓球大会を年4回開催した。大会名を優勝者名にし、おもちゃの優勝カップを継承する形式とした。職種を超えた交流と個性豊かな応援文化が生まれた。
【具体的な成果・効果】
カンファレンスへは、「毎回何かが進んでタメになる」「これが本当のカンファレンスだと思った」、学習機会へは「もっと早く学びたかった」、ハラスメントへは「体制が作られて自分たちでも断れるようになった」といった声が聞かれるようになり、多職種間での相談や意見交換が活発化した。
各学習研修も満足度の高い反応が得られ、職員の主体的な学習への参加が増加した。また、疾患発生による入院減少やケアの安定化につながり、施設稼働率は98.9%まで上昇した結果、年間売上も回復した。今年度は「最高のイベントづくし」というテーマを設定し、その一環として入所者のクラブ活動各種開催が動いている。
ご覧いただきありがとうございます。2026年6月19日(金)には東京ビッグサイトで開催されるHR EXPOの会場内にて受賞企業によるピッチ登壇と授賞式を行います。ぜひご参加ください。
受賞者ピッチ・授賞式 開催概要
- 日時:2025年6月19日(金)14:30~16:00
- 場所:東京ビッグサイト ※RX JAPAN主催「HR EXPO」会場内
- 参加方法:以下ホームページよりお申込みください
https://www.office-expo.jp/tokyo/ja-jp/gbs/vis/conference/event.html
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