【HR's SDGsアワード2025】受賞企業12社の取り組みのご紹介

One HRでは、HR’s SDGsを通じた持続可能な企業と個人の成長を加速させる取り組みに光を当てる「HR’s SDGsアワード2025」の募集を行ない、12社の取り組みに対してアワードを授賞することを決定しました。以下に、受賞企業12社の取り組みをご紹介させていただきます。


①「働く責任 働く自由」部門

最優秀賞

 株式会社CaSy

 家事代行スタッフの正社員化プロジェクト

〜多様な働き方の実現に向けて〜

【取り組みの背景・当時の課題】

  • 業務委託中心の契約形態により、収入がスタッフの稼働状況に依存し不安定であることから、「本業」として長く働いていただける方が限られていた
  • 厚生年金・雇用保険など社会保険への加入ができず、生活基盤が脆弱
  • 多様なライフステージ(子育て、高齢者など)に応じた働き方を制度として支援する仕組みが未整備


 【具体的な取り組み内容】

共働き率が年々高まる中、CaSyでは「家事は誰にでもできる」ではなく、「家事は社会を支えるスキル」かつ、「年齢を重ねても向上し続けることができるスキル」だと捉え、家事代行スタッフが安心して長く働ける環境を構築しました。

①正社員化制度の設計・導入

  • 65歳まで年齢制限を撤廃し、以降も1年更新で継続雇用を可能に

②福利厚生・資産形成支援

  • 正社員化することで、社会保険(厚生年金、雇用保険、健康保険)への加入を可能に
  • 従業員持株会を開設し、上場企業としての株式取得で中長期的な資産形成をサポート

③働きやすさの向上

  • 生活スタイルに合わせた4つの就労パターンから選択可能
  • 時短正社員も選択肢にあり柔軟な勤務を実現
  • 定期的なキャリア面談・研修を通じて、スキルアップを支援

④社内体制の強化

  • 人事部/業務部門を横断した正社員化プロジェクト推進専任チームを編成
  • ベテランスタッフによる研修で、現場でのフォロー体制を強化

家事代行事業を主事業として唯一上場しているという強みを活かし、“家事は社会を支えるスキル”と位置づけることで、スタッフの誇りと安心を両立させる制度を実現しました。


【具体的な成果・効果】

  • 2025年2月から募集を開始し、2025年5月1日現在シングルマザーを含む複数名が正社員として入社
  • 60代以上の応募者も増加し、多様な世代の雇用機会創出に貢献
  • 正社員の要件を「掃除」「料理」両スキルの装着とすることで、幅広いお客様のニーズにお応えできる体制を実現
  • 「雇用」スタッフであることが要件のため、従来の業務委託スタッフでは参入できなかった自治体への参入が叶い、売上増にも貢献

これらにより「働く自由」と「生活の安心」を両立したうえで企業の売上向上も叶い、SDGs(目標5:ジェンダー平等/目標8:働きがいも経済成長も)への貢献を具体化しました。


優秀賞

株式会社ファストコムホールディングス
毎月3キロのコメを配る福利厚生「UCHINO米プロジェクト」

【取り組みの背景・当時の課題】

日々食べているお米はとても貴重であるということを会社全体で感じ、大切に共に生きて行きたいという想いと、働くうえで“夢を忘れないでほしい”という、社員の食べるための仕事だけではなくライフワーク実現を全力で応援してくれる社長の想いからこの福利厚生制度が生まれました。農家と直接契約して、コメ栽培を委託し、契約農家への支払いは前払い制にすることで、収穫量に左右されずに安定した収入を得られるよう配慮しました。


【具体的な取り組み内容】

【制度内容】

  • お米を社員が毎月3kg持ち帰れる制度(白米か玄米か選べる)
  • 時期になれば実際にお世話になっている農場様で田植えや、稲刈り体験を行える制度
  • おにぎり食べ放題制度&社食ランチ会

私たちの取り組みは、農家にとっては収入の安定化につながり、会社にとっては農家からの直接購入で安くておいしいコメを手に入れられるWin-Winのシステムです。現在では契約農家さんも複数に増え、田植え研修などもさせていただき出来るところは自分たちも米作りに関わらせていただこうと田植えや稲刈り体験が始まりました。

DX化が進み、効率性が求められる時代だからこそ、あえて“泥に足を踏み入れる”体験を通じて、手間をかけることの尊さ、自然との向き合い方、仲間との協働の大切さを感じてほしいと思っています。

社員が持ち帰らない返納米は、こども食堂などに寄付しており、ファストコムグループは次世代を担う子どもたちの身体や心の健康を社会全体で支えていくべきだと考えています。また、寄付だけでなく、毎月開催の社食ランチや、小腹が空いたときに召し上がっていただく“おむすび食べ放題”制度をおこなっています。


【具体的な成果・効果】

米高騰が続いているので子どもがいる親世代や1人暮らしの若手社員には大きく家計に関わってきますし、実家に送ってあげて喜ばれたという社員など"親孝行"としても活躍されております。また寄付先の団体からはお子様が書いてくれた感謝のお手紙などもいただくので、社員も実感しやすいです。

自分のやりがいとなる仕事ができた場合、それはライフワークと言えます。

食べて行くだけの仕事ではなく、夢や目標を実現するための仕事、ライフワークの創出を意識できるようなってきました。

そのため働き方に対して心に余裕ができ、食べていくための仕事ではなく、夢や目標を実現するための仕事になりました。


②「違いを力に」部門

最優秀賞

株式会社An-Nahal
外国人留学生と共に学ぶ 実践型DE&I人材育成プログラム

「異文化メンタリングMILE」

【取り組みの背景・当時の課題】

人的資本経営としてDE&I推進に取り組む企業と、日本でのキャリア形成を目指す留学生双方の課題解決を目指したプログラムとして開発。

日本企業:海外人材を活用できる日本人管理者の不足、DE&Iの価値を自分ごととして捉え行動変容に繋げる原体験不足(異文化との接点や協働体験)

留学生:言語、文化、情報といった「見えにくい壁」により、就職率は全国平均で約35%にとどまり、意欲と実力を持つ人材が埋もれている。


【具体的な取り組み内容】

外国人留学生と日本人ビジネスパーソンが互いに学び合い、異文化理解とリーダーシップを実践的に育むアクションラーニング型プログラム。メンタリングでの実践と連動し、多様性の中での協働に必要な思考と行動を磨く。

■約4ヶ月間にわたる1対1の「相互メンタリング」の実施。

互いがメンターでありメンティとして対等に対話を重ね、異文化コミュニケーションや協働力を実体験から学ぶ設計。相互貢献性を前提とすることで、従来の一方向的なキャリア支援とは異なる「違いを活かす当事者意識」の醸成を目指す。

■月1回の全体研修

カードゲームやストーリーテリング、対話型ワークショップを通じたアクティブラーニングの実践。バイアス認識や異文化感受性など、インクルーシブリーダーに求められる視点と体験と内省の往復による、思考・行動変容の定着を目指す。

プログラム終了後は多様な参加者が集うアラムナイコミュニティにて、継続的なDE&I推進の学びと実践の場を提供。参加者の自律的な成長と越境学習を後押しし、互いのモチベーション維持や生涯学習の場として貢献。


【具体的な成果・効果】

  • 日本人ビジネスパーソン:インクルーシブな職場への理解の深化(96%)、異文化マネジメント力の向上を確認。違いが価値になることを実感し、日々のマネジメントに学びを活かしているという参加者の声も。
  • 外国人留学生:プログラムに参加した留学生の就職率は68%と、全国平均(約28%)を大きく上回る実績。新たなネットワークの獲得(82.1%)、日本文化・商習慣への理解の深まり(60.7%)、就職活動への自信の獲得(67.9%)という行動の変化も見受けられた。
  • その他:第13回日本HRチャレンジ大賞奨励賞受賞。日本の人事部HRアワード2024入賞。トヨタ財団助成事業採択。

優秀賞

hint人事ツアー
幸せ起点の組織づくりに挑む人事の背中を押す「hint人事ツアー」

【取り組みの背景・当時の課題】

hintゼミは、業種や立場を越えた多様な人々が集い、幸せ起点の組織づくりを学ぶ場です。しかし、学んだことを現場で実践しようとすると、自分の限界や組織・経営層との壁にぶつかり、行動が止まってしまう人も少なくありません。私自身もそのひとりでした。そんな時、力になったのが社外のつながり。同じような想いをもつ人事パーソンが壁を越え、実践に踏み出せるよう、仲間とともに伴走支援を始めました。


【具体的な取り組み内容】

「hint人事ツアー」は、人事図書館との共催で、経営者・マネージャー・人事実践者など、多様なバックグラウンドを持つ13名のサポーターと共に実施しています。参加者が「幸せ起点の組織づくり」を進める際に直面する壁を乗り越えるため、〈チームラーニング〉と〈個別相談〉の2つのアプローチで支援します。

〈チームラーニング〉では、人事の役割、GROWモデル、組織分析、理想と現状のギャップ、組織OS、変革時の壁など、実践的なテーマを少人数制・双方向で学び、最終的に各自の実践計画を練る作戦会議を行います。

〈個別相談〉では、複数のサポーターが関わり、参加者自身や組織の本質的な課題を深掘りします。hintゼミで学ぶメソッドを基盤に、コーチング・リフレクション・壁打ちなどを通して、納得感ある解決策を立案。hint人事ツアーでも「個を活かす」ことを大切にし、多様な視点からのフィードバックで、参加者の変革を多面的に支援しています。


【具体的な成果・効果】

2025年1月に構想を開始し、4月からhint人事ツアーを始動。まだ数値的成果はこれからですが、参加者の多くが「周囲に尽くす一方で、自分に向き合えていなかった」ことに気づき、自己変革の一歩を踏み出しています。hintゼミで学んだメソッドを活用し、「まず自分から」「自分・チーム・組織の変革は同じ構造で進む」ことを改めて感じ取り始めている段階です。多様な視点が交差するツアーの場を通じて、変革の道筋を描く力を育み、終了後も人事同士がつながり続けられる関係づくりを進めています。


③「本音で語れる場づくり」部門

最優秀賞

 株式会社ニフコ
 一人の越境者から始まった連鎖が、”越境フォロワー”を生み、

行動変化を組織風土へ伝播した

【取り組みの背景・当時の課題】

  • 中年社員の多くが変化を「自分ゴト化」できずに停滞、既存のキャリア研修も行動変容に至らない課題があった
  • 「変わるのではなく、変われるようになる力を育むこと」を支援の本質と捉えた
  • 私自身(49歳・エンジニア)が越境留学を体験し、変化を受け入れる感性からリスタートした
  • 「変化を起こす構造」を個人起点で設計、その仕組みは全社に展開・制度化され、組織風土づくりへと波及している


【具体的な取り組み内容】

2019年、私自身がITベンチャー企業へ越境留学し、価値観の変化から人生の転機を迎える。この経験を基に、社内向けの越境学習プログラムを段階的に展開。人事と連携し、以下の仕組みを構築した。

  • 【計画】越境後の変化プロセスを言語化し、社内展開を設計
  • 【実行】自ら体験者を巻き込み、フォロワーを増やしながら推進
  • 【評価】面談・対話・アンケートで行動変容を可視化
  • 【改善】公募型・指名型の導入、対象層の拡大と制度化

併せて、以下の具体施策を展開:

  1. 一歩が踏み出しやすく設計された、越境ハードル別の6種類のPGで自己理解と越境感性を育む(2020~)
  2. 部署を超えて語り合える社内SNSコミュニティを立上げ、 “関係の質”を高める(2020~)
  3. 施策は開発本部から始まり、人事と総務の連携しながら全社展開・制度化を実施中(2023~)
  4. 自分の”好き”を起点に自己棚卸をするマイパーパス策定WSを開発し、自分ゴトとやりがいを言語化して、社内SNSに自己開示(2025~)
  5. 自社ファシリテーター30名を選抜育成し、自分ゴト化と未来を担うリーダーを育成(2025~)


【具体的な成果・効果】

  • 2019年、開発本部での1人の越境留学から始まり、6年間で62名の越境を体験
  • 社内SNSコミュニティは2020年の26名からスタートし、現在は全社1500名に拡大
  • マイパーパス策定WSは、2021年にチーム(8名)から開始、2025年から全社1500名へ社内ファシリテーターが展開中
  • 新入社員研修にもマイパーパス策定WSを導入し、やりがいやチャレンジ精神の文化が根づき始めている
  • 越境経験者の多眼視点は、部門を越えて新たな価値提案や課題発見を担う存在に成長
  • 内発的動機に基づく“行動変容の連鎖”を生み出す仕組みとして、再現性・持続性を備え(他社展開も可能)、

今後も“越境文化”を社内外へ広げていく


優秀賞

 パナソニックグループ

有志コミュニティ「ここからはじまる心理的安全性の輪」
 有志コミュニティが築くカルチャー変革 ~日曜日の夜が楽しみになる会社へ~

【取り組みの背景・当時の課題】

100点満点主義が強く、一人ひとりの想い・志・意見の質は非常に高いものの、「言ったもん負け」の文化が強く、会議や人前で口にだせない状況。松下幸之助創業者が言っておられた「モノをつくる前に、人をつくる」には胸をはってはいえない。


【具体的な取り組み内容】

そういう文化を打破する為に、業務外の心理的安全性の有志コミュニティを立ち上げ、各事業会社の枠を超え、つながり、ボトムアップでムーブメントを起こし、『夢を叶えるならパナソニック』、『日曜の夜に早く会社にいきたい』、『それおもろいな、やろうや!(批評家ではなく、誰かのチャレンジを後押し)』が飛び交う会社を目指し、社員一人ひとり、組織・会社・社会全体が幸せになるように、カルチャー変革をボトムアップでも推進している。そして、もう一度「モノをつくる前に人をつくる」会社であるということをみんなが胸をはって誇りを持てるようにしていく。

  • 有識者を招いた月1イベント開催(毎回300名満員御礼)

  ※有志活動の為、リソース0の為、社外人脈フル活用し講演料無料で直談判

  • 勉強会開催(2時間×4回+職場実践)
  • 役員との対談イベント(CTO、CHRO、CIO)
  • 本コミュニティ(業務外有志)×業務領域部署(人事、風土改革等)とのコラボイベント開催
  • ステッカー、フライヤー、各グッズ作成、配布(約7000枚配布)

  ※有志活動の為、リソース0の為、社内クラファンで製作費を募って対応


【具体的な成果・効果】

コミュニティ活動は自主活動であり、経営からは遠い存在に思われがちだが、本コミュニティは社内外表彰を受賞し、社内インフルエンサーとしての立場も確立し、経営層との距離も非常に近くなり、トップダウンとボトムアップの融合を創出しつつある

  • コミュニティ参加人数:3200名(’25年5時点)
  • eNPS向上:+10Point(コミュニティ参加前後で会社の推奨度が大幅向上)
  • 勉強会受講生の所属部署のエンゲージメントサーベイ大幅改善
  • コミュニティメンバーのターニングポイントへ寄与(メンタルダウン直前からのV字回復、家族関係崩壊寸前からの復活等)※コミュニティ参加により会社、 人生が充実するようになったとの声も寄せられる

④「志と志を重ねて」部門

最優秀賞

リゾートトラスト株式会社
お客様と歓びを分かち合い価値共創する独自の人財開発

「Pleasure(歓び)プログラム」

【取り組みの背景・当時の課題】

当社はインバウンド需要に伴うホテル業界隆盛の中で「ホテル稼働率の低下」の問題に直面。委託調査等を経て、競合他社と比べて顧客ロイヤルティ(満足度)の低さが課題にあがった。顧客満足度を高めるには「サービスレベルの向上」が必要不可欠だが、その下支えとなるのが「お客様に喜んでほしい」という個人の想いと、その想いを尊重し自由にホスピタリティを発揮できる組織風土。新たな組織風土醸成のため、取り組みを始めた。


【具体的な取り組み内容】

初めに社員を「人財=企業のブランド」と捉え、そのブランド社員の「ありたい姿」 を明確にした。「Your Pleasure is Our Pleasure(お客様の喜びは、私たちの歓びです)」を合言葉に歓びを持って主体的に働く社員とし、その育成環境がお客様の記憶に残る満足・感動に繋がると社内で方針を定めた。育成環境とは具体的に、8つの人財開発プログラムから構成される「プレジャープログラム」を独自に制定・実施。経営理念や質の高いパーソナライズドサービス、当社の滞在でしか得られないユニークなブランド体験の提供をプログラムで身につけ、一定のトレーニングを修了した社員にはライセンスを付与した。育成プログラムはDXを図り、自社開発したタレントマネジメントシステム「HRDeC」を活用。自身の成長プロセスを可視化したシステムで、楽しみながらやりがいや成長実感を醸成する。さらに各ホテルから1名をお客様の喜びを創造する感動特命大使として「ブランドアンバサダー」に任命。20代~30代の若手社員が組織の「ありたい姿」の象徴として、顧客感動を追求して行動し、プレジャープログラムの企画・育成にも携わっている。


【具体的な成果・効果】

定量

  • エンゲージメントサーベイ指数:69→81(2023→2025年)
  • 退職率:11→7.5%(2022→2024年度)
  • プログラム受講者:約3000名
  • 自己学習時間:47→87時間(2020→2024年度)
  • リーダーライセンス取得者:258名
  • 昇格スピード:4.3→3.4年(過去10カ年比較)

※HRDeCにより人財データを可視化

定性

  • 「〇〇さんに会いに来た」と来館するお客様が増加し、CS向上
  • 配属ホテル・部署による育成環境の平準化に成功。スキルの可視化で社員の成長意欲促進
  • ブランドアンバサダーの任期を終えた社員は最年少で総支配人に昇進、年間優秀社員に選出など多方面で活躍
  • キャリアビジョンとしてブランドアンバサダーを目指す社員が増え、新たな目標の確立

優秀賞

any株式会社
育てた文化が、自然とにじみ出した日々──個人のWillとVMVが響き合う組織

【取り組みの背景・当時の課題】

anyでは創業以来、個人のWillと組織のVMVが重なり合うことを大切に、事業成長とCultureを両輪で捉えてきた。3年以上続けてきたanyDAY(月次全社ワーク)では、その思想を全社で言語化・体現する営みを続けてきた。2023年9月、大幅な売上未達をきっかけに、anyDAYでの対話を経て、“Cultureを経営の柱に据える”という意思を全員で再確認し、組織全体で、しなやかな強さを伴う行動変容への着手が始まった。


【具体的な取り組み内容】

anyDAYでは、hintで学んだ共感型リーダーシップや心理的安全性をベースに、自己開示・相互理解・内発的動機づけを意識したワークや対話を毎月実施。全社員が「個人のWill」と「組織のVMV」の重なりを再確認し、言語化・共有する場として浸透してきた。社員がワーク設計に関わる場面も増え、Cultureは「与えられるもの」から「共につくるもの」へと変容。そうして育まれてきた文化が、日々の関わりの中で自然と社外にもにじみ出し、AIナレッジプラットフォーム『Qast』を導入いただいた企業の中には、「anyの文化から学びたい」とご相談くださるケースも増えてきている。象徴的な事例がエリエールペーパー社であり、役員〜現場の30名と共にQast導入の目的を言語化するワークショップをany主導で開催。ナレッジ共有を通じて“対話の文化”が醸成され、個人の声と組織の志が交差する場が生まれている。


【具体的な成果・効果】

any社内では、「Cultureを経営の柱に据える」という意思決定以降、WillとVMVの重なりが共通言語となり、日々の選択や会話にその軸が自然と現れるようになってきた。Startup Culture Award最優秀賞の受賞や、カルチャーサーベイでの「ミッション・ビジョンへの共感」スコア5.0など、内発的な文化の強度が社内外から評価されている。(any株式会社、「Startup Culture Award」最優秀賞 受賞のお知らせ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000033337.html)

シリーズB資金調達時も「ビジョン→カルチャー→事業→成果」の一貫性が強みとされ、Qast導入企業からは「現場から対話が生まれた」「理念と行動がつながった」との声も。個と組織が志を交わし、共に育ててきたCultureが、いま新たな響き合いを広げつつある。


⑤「育つために育てる」部門

最優秀賞

レバレジーズ株式会社
年間800名のインターン指導経験で創る!
障がい者社員が輝く『共成長』指導プログラム

【取り組みの背景・当時の課題】

レバレジーズの障がい者雇用を担うBPO組織「ワークリア」は、定着率90%を誇り、約2年間で約180%の規模拡大を実現。一方で、活躍する障がい者社員に対し、更なる成長機会、リーダーシップを発揮する経験や多様なキャリアパス提供が課題でした。この課題に対し、障がいのあるインターン生の育成を障がい者社員へ一任。育成全般を担ってもらうことで、リーダーシップ経験を積む機会を創出し、社員の更なる成長を促しました。


【具体的な取り組み内容】

本プログラムは、就労移行支援事業所から来る未経験かつ障がいのあるインターン生を年間800名受け入れる状況を活用し、障がい者社員を「次世代リーダー候補」として育成します。

活躍中の障がい者社員がトレーナーとなり、同じく障がいを持ち、就労に不安を抱えながらも一歩を踏み出そうとするインターン生の指導・育成を担当します。

【トレーナーのリーダーシップ育成ポイント】

  • 「未経験者指導」が生む成長機会: 基礎からの丁寧な説明、根気強い関わり、多様な個性や特性に合わせたコミュニケーション、モチベーション維持といった、リーダー/マネジメントに不可欠なスキルを実践的に習得します。
  • 「教える」を通じた徹底的な自己成長: 業務スキル等を言語化し指導するプロセスが、社員自身の知識の体系化、応用力、説明能力を飛躍的に向上させます。
  • 支援機関との連携強化: トレーナーは、支援機関との会議でインターン生の就労状況を共有。報告や折衝を通じて、社外調整力や多角的な視点を養います。
  • 心理的安全性の高い挑戦の場: インターン生は「応募不問」のため、トレーナーはプレッシャーなく「人を育てる」経験を積めます。


【具体的な成果・効果】

  • エンゲージメントの劇的向上: インターン生からトレーナーへのサンクスカードが月100枚に達することも(2025年4月実績)。これがトレーナーの大きな励みとなり、貢献意欲とさらなるやる気を引き出しています。
  • 採用に寄与: 応募前提にしていないものの、丁寧な指導とピアサポートの組織風土・障がい者社員のキャリアを体感した結果、インターン参加者の約3人に1人がレバレジーズに応募。インターンを経て入社した障がい者社員からは「スタッフの対応が素晴らしく、入社後に自分も同じようにレクチャーを担当できることがあれば是非頑張りたい」「フラットに挑戦出来る環境に惹かれた」などの声があがっている。

優秀賞

三井情報株式会社
一人ひとりの「働きがい」を醸成し、全社員で実践!

成長を支援するキャリアオーナーシップ推進の取り組み

【取り組みの背景・当時の課題】

従来の当社における会社と社員の関係は、目指すべき人材像と道筋を提示し一律に定義した均一的なものであった。雇用の流動化や採用市場の激化(選ぶ立場から選ばれる立場へ)、社員の属性や価値観の多様化も進む中、会社で示す均一的な働き方やキャリアの限界を感じていた。多様な価値観を持つ社員が主体的にキャリアをデザインし、社員の成長を会社が後押しする関係(=キャリアオーナーシップ)へと大きく舵を切る必要があった。


【具体的な取り組み内容】

キャリアオーナーシップ(=C/O)の考え方を次期中計の人事戦略の1つに据え、経営→マネージャー→全社員の順に広げる活動を2022年よりスタート。

主な取組

2023年度(Season1テーマ:C/Oの認知)

①人材マネジメントポリシー制定(人事関連の全ての施策を働きやすさの促進と働きがいの醸成へ分類し、見える化)

②CHROのC/O宣言発信

③キャリア観・マインド理解の意識醸成動画Ⅰ公開

④上司説明会(計10回)、全社員対話型説明会(計27回)実施

⑤世代別キャリア観・マインド醸成ワークショップ実施

⑥キャリア面談研修(管理職)

2024年度(Season2:C/Oの共感と実践)

⑦CHROメッセージ発信

⑧C/O意識醸成動画Ⅱの公開

⑨C/O診断実施(キャリアの現在地を測定)

⑩目的別ワークショップ実施(全社員、診断結果に基づき選択)

⑪各種公募プログラムの開催(C/Oの実践を支援する施策)

2025年度のSeason3はC/Oの実践をテーマに活動を継続中。活動を通して9割の社員がC/Oの重要性について理解、意識や行動が変わったとコメントし、C/Oの考え方が浸透しつつある。


【具体的な成果・効果】

取組開始当初は、経営層もマネージャー層も「遠心力が働き離職につながるのではないか」「他部署への異動希望が加速するのではないか」といった声も上がっていたが、経営→マネージャー→全社員の順に対話型の説明会を繰り返し丁寧に実施したこと、一過性ではなく、個人と会社の持続的な成長に繋がる施策であることを伝え続けたことで、C/Oの取組が浸透しつつある。

主な成果

・各種公募プログラムは延べ1,900名が参加

・「当社は社員の多様性を尊重し促進している」のES肯定率が50%台→70%台に向上

他、「仕事へのやりがいを再発見できた」「意義深い取組で感銘を受けた」といった前向きなコメントが多数寄せられている


⑥「はたらくを楽しく」部門

最優秀賞

スパイスファクトリー株式会社
 「プレママ・パパ制度」でライフイベントを前向きに迎える文化づくり

【取り組みの背景・当時の課題】

出産前後の心身の負担や、育休給付金の減額に繋がる欠勤の発生など、法制度だけではカバーしきれない妊娠期間の課題に対し、社員が安心してライフイベントを迎えられる支援策が求められている。

企業として多様な働き方を支援する中で、妊娠・出産を“キャリアのブレーキ”としない仕組みづくりが必要とされている。


【具体的な取り組み内容】

法定の産前休暇よりも前に、最大20日間の特別有給休暇を取得できる「プレママ・パパ制度」を2023年7月に導入。(制度詳細:https://spice-factory.co.jp/news/15904/

妊娠中の体調不良や検診、家庭の準備など、制度の“隙間”を埋める支援策として設計され、有給とは別に特別有給休暇として付与。

同制度は、欠勤や休職を回避し、育児休業給付金の減額要因を防ぐ役割も果たす。

2024年度は制度利用対象者のうち66.7%が実際に活用。

また、育児休業取得率は2024年度に85.7%、うち6名中5名(約83.3%)が男性。取得対象者(男女)の平均取得日数は121.6日と高水準を記録。

社内Slackに子育て専用チャンネルを設置し、育児グッズ、生活リズム、制度活用の体験などを社員同士で共有。

育児休業ガイドブックを作成し、労務担当が制度説明を実施。事前の不安を丁寧に解消しながら支援。ガイドブックは社員がいつでも閲覧できる。

育児休業の申請も柔軟に運用し、原則1週間前申請のところを“出生日当日”でも受理(条件付き)するなど、取得を促進。


【具体的な成果・効果】

プレママ・パパ制度の利用によって、欠勤・休職の回避や育休給付金の満額支給に繋がり、出産前の安心と余裕の確保に寄与。

特に制度開始後男性の育児休業取得が顕著で、2024年度の取得者のうち約83.3%が男性という先進的な実績を達成。

育児休暇への取得ハードルの低下が実現。制度と文化の両輪で、子育てとキャリアの両立を支援する土壌を醸成している。

日本経済新聞、ハフポスト、労基旬報、東京都「カイシャハッケン伝」など多くのメディアに取り上げられ、社会課題への具体的な提起として注目された。

東京都が推進するサステナブルな働き方に取り組む企業「東京サステナブルワーク企業」に2025年2月に承認・登録。


優秀賞

日本ペイントコーポレートソリューションズ株式会社
私たち自身がわくわく働く、従業員の、従業員による、
従業員のためのコミュニティ:EFE活動

*注釈EFE:Engagement for Employee

【取り組みの背景・当時の課題】

「経営と現場で認識に乖離がある状態」という課題感が主な契機だった。具体的には、誰も自社に愛着を持たない、自分さえよければよい、利益や短期的な成果を重視する、目の前の人間をモノとして扱う、病んだらそれまでという風潮、会社の愚痴が多いといった現場の状況。また、メンタルブレイクが多発してもビジネス工数が優先される、人的資源の姿勢が強い、言動不一致のマネジメント層が評価され組織が硬直化していると感じた。


【具体的な取り組み内容】

EFE活動は「学ぶ、つながる、行動する」をキーワードに、「社会にオドロキを創出するためには、まず私たち自身がわくわく働くことが重要である」という信念のもと社内および社外で取り組みを行っている。社内では、①EQ(心のIQ)や人的資本をテーマにした社内ワークショップを開催しており、毎月5回(お昼休み、就業時間外)実施している。次いで、学び、つながった方が自組織/自チームを変革していくこと伴走支援すべく②手上げ制を対象とした組織開発を実施している。さらに、③コミュニケーション×園芸療法アプローチによるストレスチェックと対話の機会創出、④共創と競争によるウォーキングイベントによる健康促進の企画/連動、⑤日本ペイント創業記念NIPPE Dayの企画/連動、⑥生成AIを活用した目的実現のワークショップなど、様々なタッチポイントを創出し、良い関係性や雰囲気づくりの醸成かつ学びたい、つながりたい、行動したいをデザインし、その先のイノベーションが生まれる土壌を耕すことに努めている。さらに、社外と積極的に交流、共創し、互いのアセットを通じて双方の成長に資すること、あるいは社会課題解決への一助に貢献することに努めている。


【具体的な成果・効果】

2022年6月、7人の有志で立ちあげた活動は、現在は全従業員3,800人の約200名(5%)に増加し、アーリーアダプター層に到達。社内認知の向上に伴い、2023年:社長賞獲得、2024年:経営層のエンゲージメントや人的資本への意識が向上し、それらが経営アジェンダに入る機運醸成や組織・評価変更を誘発。2025年:EFE活動の筆頭スポンサーに当社HD社長を迎えることを実現。同年4月、HPお知らせにエンゲージメント強化していく一環としてEFE活動を支援する声明を公開。社外活動においては、2024年:50社を超える企業からインタビューや共創活動を受ける。2025年3月に株式会社アトラエWevoxチーム/田中 信 (著):わたしたちのエンゲージメント実践書に事例掲載。

ご覧いただきありがとうございます。2025年6月27日(金)には東京ビッグサイトで開催されるHR EXPOの会場内にて受賞企業によるピッチ登壇と授賞式を行います。ぜひご参加ください。


受賞者ピッチ・授賞式 開催概要

日時:2025年6月27日(金)13:00~14:30

場所:東京ビッグサイト ※RX JAPAN主催「HR EXPO」会場内

参加方法:以下ホームページよりお申込みください

 https://biz.q-pass.jp/f/10771/sj25/?_gl=1*acvtlp*_ga*MTgzNzUyNDI0Mi4xNzQ4Mzg1ODc0*_ga_WK7BL5007V*czE3NDgzODU4NzQkbzEkZzEkdDE3NDgzODU5MDUkajI5JGwwJGgw

 ※サイト内で「HR SDGsアワード 主催:One HR」をキーワード指定するとスムーズに授賞式の概要が表示されます

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